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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密
そのまま昇降口まで走り続けた俺たち――。
帆月は立ち止ると、握っていた俺の手を放した。そして、暫く呼吸を整える。
「本当……なの?」
「な……なにが?」
「先生が……呼んでいるって?」
「ああ、それは……嘘」
「そう。松名くんて嘘を言う人なんだね……」
「困っているように見えたから……迷惑だったら謝るけど」
「あの人、しつこかったから困っていたのはその通り。でもね……」
「――?」
「昨日、蒼空に――」
そう言いかけて、帆月は首を振り、改めて俺の目を見て、こう訊ねる。
「昨日、私に言ったこと……あれも嘘なの? それとも本心から言ったことなの? 私はそれが知りたいと思っている」
「!」
いきなり核心の部分を突かれ、俺はたじろぐ。