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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密

 昨日、言ったことは謝りたいと思っていた。それは、あのタイミングで言うべきことではなかったと思うからだ。しかし、あの言葉が嘘か本当かと訊かれれば、その答えを俺は、まだ持っていない。

 否、それは俺が逃げているだけなのか? 俺は帆月が気になって仕方がない。それは、もう言い逃れができないことだろう。だったら、もしかして俺はもうとっくに……。

 帆月の勢いに押されるように、俺は自分の中の曖昧な部分にある結論を出そうとしていた。

「あれは――」

 そして、俺がそう言いかけた時、

「言わないで!」

 帆月は、俺の言葉を遮る。

「今は、まだ言わなくていいの」

 帆月が何故、俺の言葉を止めたのか。僅かながら漠然と、理解できそうな気がする。それは、昨日の帆月じゃないから? だから『今は言わなくていい』ということなのか。

 そう思った瞬間、俺は迷うことなく、こう口にしていた。

「今日の帆月さんは、昨日の帆月さんと違うんだね」

「!」

「お願いだ。俺に話してくれないかな?」

 帆月の瞳が、真っ直ぐに俺を見据えた。

 俺も真剣に、その視線を見返す。

「誰にも言わない?」

「絶対に言わない」

 暫くの間、帆月は睨みつけるように俺を見つめる。その姿からは、強い緊張が滲んでいるように感じさせた。そして、両目を閉じ、息をゆっくり吐き出した後、噛み締めるように次のように話した。


「わかった……教えてあげる。私と、蒼空の秘密を」

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