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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密

車は街中を抜け、山間部へと続く道を走る。暫く進み細い脇道に折れると、地元の俺でも見慣れぬ景色が広がっていた。民家は疎らである。更に進むと、木々の間から立派な洋館がその姿を現わしていた。
こんな場所に、こんな建物が?
唖然とする俺をよそに、車はその洋館の敷地へと滑り込んで行く。
「ここが、帆月さんの……?」
「借家でございますが」
思わず口にした疑問に、沢渡さんが答える。
「どうぞ」
沢渡さんに先導され、屋敷の中に進んだ俺は、リビングと思われる場所に通されていた。思われると、表現したのは、およそ俺が知るリビングとはかけ離れた印象であった為である。
広々とした空間、高級そうな家具類、壁に飾られた絵画やインテリア。その全てが、俺を圧倒しようとしていた。建物自体は古いものと思われるが、外観内装共に、綺麗に保全されており、まるで映画の一場面に紛れ込んだような錯覚。
「沢渡さん。彼に私たちのことを、話してあげてください」
「本当に、よろしいのですね?」
沢渡さんは、強張った顔で帆月を見る。

