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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密
「――!」
それを聞いた俺は一つの疑問を解かれる。だが同時に、もっと大きな疑問に苛まれることとなっていた。
帆月が日々、違って感じられたのは、彼女たちが二人であったから?
だが、双子とは言っても別人だ。周りに気づかれずに二人で一人を演じるなど、そんなことが可能な筈が無い。否、違う。本当に気にすべきことは他にあった。そんなことが許される筈もなく、そんなことをする理由が見当たらない。
「どうして――」
興奮して立ち上がろうとした俺を見て、沢渡さんは左の掌を出す。それに制される形で、俺は動きと言葉を止められた。
「誤解を招く前に……最初に残酷な事実をお伝えすることをお許しください」
「残酷な……事実?」
固唾を呑んで、次の言葉を待つ俺に――沢渡さんは静かに話す。
「三年前のことです。怜未さまは、交通事故に遭われ……お亡くなりになられました」