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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密
こんなことで明日。俺はどの面を下げて、蒼空に合うというのだろう。
ギュッと目を閉じた時、俺の脳裏に涙を流した蒼空の顔が浮かんだ。蒼空は今も泣いたまま。彼女を悲しませた俺が、こんな調子でいい訳がない。
そして、次に浮かんだのは怜未の顔。それは、俺を信頼して事実を伝えることを決めた時の顔だった。
二人は数奇な運命を懸命に生きている。だったら、俺はそれを受け入れなければ、二人の前に立つ資格を失ってしまうだろう。
俺はくるりと身体を反転させ、両目を開き天井を見つめる。
そして、沢渡さんから聞いた話を、もう一度思い返すことにした。それが、今の俺に出来る、せめてもの決意の表れだった。