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その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです

 ベンチから立ち上がった俺。その近くに車は停車する。

 先に車から降りた沢渡さんは、一瞬だけ俺を見る。しかし、すぐに軽く一礼するとドアを開く為、後部座席の方へ回り込んだ。

 ドアが開き、車を降りた彼女は――


「……おはようございます」


 俺を見つけて、恐る恐るそう言った。

 それを、聞いた瞬間に俺は実感していた。彼女は、間違いなく蒼空であるのだ、と。

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