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その恋を残して
第1章 好きにならないで!
 図らずも教室内の注目を集めた上、寒々とした空気に晒された俺。剥きになった自分を恥ずかしく思い、咳払いをして頭を冷やそうと試みる。

 確かに帆月蒼空を見た瞬間、電気が走ったような衝撃を受けていた。だが、俺はそれを『一目惚れ』とは認めない。『美人=好き』なんて、単純な奴みたいで何か嫌だ。

「見た目とか、関係ないし……」

 そして、俺を睨みつけた瞳。それを思い返して俺は旋律していた。それ程、あの時の帆月の目力は、俺の中に強烈な印象を刻んでいる。

「ホント素直じゃねーな。ま、いいけど。ライバルは多そうだし……」

 俺たちは、ふと帆月の方に視線を向ける。数人の女子に囲まれた彼女を遠巻きに眺める男子の数は少なくない。

 その一員と思われることを恐れ、俺は視線を逸らした。と言うよりも、正直、再び帆月と目を合わせることが怖い。

「アレは、トラウマレベルだよ……」

「なにソレ?」

 田口は不思議そうに、俺を眺めた。
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