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その恋を残して
第1章 好きにならないで!
授業も終わり、帰宅部の俺は家に帰るべく、昇降口で靴を履き替えていた。
今日も、いつもと変わらない。編入生が一人、クラスに来た。それだけの一日。明日からも特に変わったことはあるまい。そんな風に思い、歩き始めた時のこと。
「あの……」
聞き覚えのない女の声に、俺は振り向いた。
「!」
そして、俺は驚く。何故なら、そこに居たのが、帆月蒼空だったから……。
「……なに?」
俺は恐る恐る、そう訊ねる。彼女は今日編入してきたばかり。まだ、俺とは一言も口を利いていない。俺を呼び止める理由など、皆目見当もつかないのだ。
「もし、私の勘違いだったら謝ります」
帆月は俯き加減に、そう切り出した。
「はあ……」
呆然とその姿を眺める俺にとって、帆月の次の言葉は実に意外なものとなる。
「迷惑――なのです」