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その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです

 電気が走り抜けたような、その衝撃とは裏腹に、それだけの言葉の頭で理解するのに、俺はどれだけの時間を有していただろうか?

 否、きっと、言葉を理解したのではない。蒼空の気持ちが、俺の中に染み込んでいった感覚であった。

 それを実感できた時、俺の口は自然と動いていた。

「俺も……蒼空が、好きだ」

 俺と蒼空は身体を放して、見つめ合う。

 蒼空の瞳から涙が流れるが、それは、この前とは違う涙。

 それを証明するように、蒼空は微笑を浮かべて言った。

「嬉しい……」

 俺も同じ気持ち。俺たちの想いが通じ合った。胸が熱くなっていゆく。

 蒼空には難しい事情がある。でも、それは俺が受け止めよう。必ず受け止めてみせる。そう思っていた。不意に訪れた幸福に、俺は心を躍らせている。

 だから、俺は無防備だったと思う。これから訪れる、本当の困難に対して……。

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