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その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです

 コンビニから学校までは、歩いて五分といったところ。

 それだけの距離を、それでも一緒に歩きたいと蒼空は思ってくれている。俺はそれが嬉しかった。

「一日置きに学校に来るのって、やっぱり不安?」

「そうですね。やはり初日は不安でした。あ、編入した初日は怜未だったから、二日目になりますね。校門を入る時は緊張しました。そしたら、松名くんが声をかけてくれて――」

「あ、そうだった。ゴメン。突然、知らない奴から声をかけられて驚いたんじゃない?」

 蒼空は左右に顔を振る。

「松名くんの顔は知っていました。だから――私、ホッとしていたんです」

「知っていた?」

「はい。怜未が初日に会っていたから」

「そういえば、知識や情報は二人で共有できるって言っていたな。じゃあ、俺がクラスメイトだとわかっていたからホッとした訳か」

「それは、少し違います」

「え――?」

「声をかけてくれたのが、松名くんだったから……」

「それは、どうして?」

「私にもはっきりとはわかりません。でも、たぶん……怜未が松名くんに対して、いい印象を抱いていたからだと思います。それが自然と私に受け継がれていて――」

「いや……それは絶対にないと思うけど」

「そう――ですか?」

「ああ、間違いない」

 俺はきっぱりと言った。

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