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その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ
もちろん、それはその通りだろう。だから、非が有るのは俺の方であるのだが……。
しかし、その医師の言い様は、少なからず俺をムカつかせていた。そして、医師の態度の豹変は、単に俺の非礼によるものだけとは思えない。
「ここは帆月クリニックという名前ですよね?」
「ああ、そうだが……」
「貴方の名字も、帆月なんですか?」
「……帰れ。もう、キミと話すことはない」
医師は吐き捨てるように言うと背を向ける。
やはり、この人は何か知っている。そう直感した俺は、この場においての最後の質問をぶつける。
「では……帆月怜未を、知っていますか?」
ピタリ――と、医師はその足を止めた。