この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ
「蒼空と怜未の生まれのことは聞いているかい?」
「詳しくは知りません。事情があるとだけ……」
「二人は親父が愛人に産ませた子でね。僕が高校生の時だった。二人は親父に連れられて帆月家にやって来たのは……」
「蒼空と怜未の母親は?」
「その少し前に、亡くなっている」
「そう……ですか」
「僕には元々、兄貴と弟と妹が一人ずついる。つまり、四兄弟という訳さ。そんな所に突然、現れた妾の子供……しかも、名だたる名家でのことだ。二人がどんな扱いを受けたのか想像できるかい?」
「いじめられていた。ということですか?」
「簡単に言えばね。義母に義兄に義姉……。皆、二人を疎ましく思っていた。必然、幼い二人にも辛く当たることになる……」
「そんな……」