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秘密の恋人
第18章 男ノ選択
それは、否定できない…
誕生日を迎えて49歳になったと言っても、義隆さんは若く見えるから、40そこそこくらいの外見だ。だけど、50代、60代の、この先は分からない。見た目の問題だけでなく、確実に歳は重ねていく訳だし…

「別に、子供には執着はないけど…。産むことが至上命題とも思ってないし、いないからこその楽しみ方もあると思うし。」

「だから、その、もういいかと思って。あと何年できるかわからないけど、残り少ないセックスライフを避妊しないで楽しみたい。」

セックスライフって…義隆さんのキッパリとした言葉に、頰が熱くなる。

「その、やっぱり、避妊て、したくないもの、なの?」

「そりゃつけないほうが気持ちいいから。でも、私は若い頃に一度失敗してるし、子作りでないセックスには避妊が最低限のマナーだとは思ってる。」

「失敗って…その、隆行さんは望まない子だったってこと…?」

「隆行が生まれた後で、要らないと思ったことはないけど、正直、妊娠を告げられた時は、まだ若かったし戸惑ったよ。」

それは…そうだろうな…

「安直に快楽を優先して、避妊を怠った事を後悔した。それでも、男として、彼女と子供を守らなければと気負い過ぎて…失敗した。私が、もっと大人になってからの結婚だったら、妻ともうまくやれていたのかもしれない。」

義隆さんはそう言って自嘲的に笑う。

「…今でも奥様を想う気持ちはある?」

「恋や愛ではないけどね。申し訳ない事をした、とは思うよ。でも、そう思えるようになったのも、菜摘のお陰だと思う。当時は、私は自分が被害者だと信じて疑わなかったから。」

被害者…義隆さんの過去に何があったのかしら…

「奥様と、離婚された理由って、聞いてもいい?嫌なら無理にとはいわないけど…」

義隆さんは穏やかに笑って。

「私は家族を守る為に仕事に打ち込んで….家族を顧みることがなかった。妻は、寂しかったんだと思う。隆行が小学校に上がって、時間ができて。妻は家にこもっていたくない、とパートで働きだした。」
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