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秘密の恋人
第19章 波乱ヲ呼ブ手紙
「…外食の機会を設けてその場所と日程を教えろってことだろ?そんなの、どこかから見られてるって判ってて自然に振る舞えるわけないじゃないか。何考えてるんだ一体…」

イライラした様子で溜息をつく義隆さん…

「早い話が会いたい、っていうことでしょう?だけど、後ろめたさがあって、会いたいって言えないからこんな回りくどいお願いになってるのよ。そういうことなら一度会って話をしよう、っていう返事を期待しているんだと思う。」

「この文章から読み取れるわけないだろう、そんなこと!全く…女性ってのは難しいな…ていうか菜摘、君なんで分かるの」

「私が逆の立場ならそう思う、かな、と思って…」

「…会うといったって…今更何話せばいいんだ…それに…こんなこと私から隆行に言えっていうのか…」

「私も一緒に行こうか?折を見て席を外したっていいんだし、直接会うなら長時間の食事にしなくても、どこかでお茶でもいいわけだし。私から隆行さんにお願いする?」

「菜摘…なんでそんなに積極的なの…?」

「…上手く言えないけど…お互いに、前に進むために、避けない方がいいような気がするの。一度きり、でもいいじゃない。義隆さん、私に言ったでしょ?今幸せだから、奥さんを思いやる余裕ができたって。なら、涼しい顔で会いに行きましょうよ。お互い幸せなんだね、って笑って終止符を打ちましょう?」

義隆さんは三度溜息をつき、

「本当に…女性は強いな…」

と呟いた。
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