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秘密の恋人
第19章 波乱ヲ呼ブ手紙
次の土曜日。
大阪駅のグランフロントで、3人で昼食の約束をする。
待ち合わせた時の広場で、向こうから隆行が近づいてくるのが見えた。
梅田までは菜摘も一緒に来た…正確にいうと、私が誘って来てもらった。元妻としたくもない再会なんて、絶対疲れるのは目に見えている。梅田から自宅なんて30分程度の距離ではあるが、一人で電車に乗って帰るのがなんとなく億劫で。菜摘だって1人で家で待っていたってやきもきするだろうし…なら解散後すぐ会える方がいい、と思ったからだ。
菜摘は隆行に軽く挨拶をすると、じゃ、私は大丸に居るから、と言って去って行った。
約束の店の前にいくと、1人の女が近寄ってきた。
「義、隆、さん…?」
「…久しぶり。」
「…た、かゆ、き…?」
大きく目を見開き、口に手を当てて、今にも泣き出しそうな顔。
「大人に…なったのね…当たり前なのに…嫌だ、私ったら…」
バッグからハンカチを出して目を抑える。
「桜子、目立つから止めてくれ。早く入ろう。」
店の予約は菜摘がしてくれていたから、昼時の席待ちの行列を他所目に店に入る。
食事を楽しみにきたわけじゃない。全員日替わりランチでいいかと聞いたら、異論はないようだった。
「…もう一度、会って話せるなんて思わなかった…ごめんなさいなんて言葉で、償えるとは思ってない。許してなんて言えない。だけど、来てくれて、ありがとう…」
桜子は隆行に向かって深々と頭を下げた。
「桜子のご主人は、今日はどうしてるんだ。用件を済ませてさっさと帰った方がいいんだろう?」
「心配しなくても、長時間拘束なんかしないわ。この機会をいただけただけで充分感謝してます。義隆さんも、再婚したの?」
私にはチラッと横目を向けただけで目を伏せた。私も敢えて目を合わすのは避ける。
「君には関係ないだろう。心配しなくてもパートナーはいるよ」
「相変わらずね…貴方のそういうドライな物言いが苦手だわ…」
桜子は吐き捨てるように言った。
大阪駅のグランフロントで、3人で昼食の約束をする。
待ち合わせた時の広場で、向こうから隆行が近づいてくるのが見えた。
梅田までは菜摘も一緒に来た…正確にいうと、私が誘って来てもらった。元妻としたくもない再会なんて、絶対疲れるのは目に見えている。梅田から自宅なんて30分程度の距離ではあるが、一人で電車に乗って帰るのがなんとなく億劫で。菜摘だって1人で家で待っていたってやきもきするだろうし…なら解散後すぐ会える方がいい、と思ったからだ。
菜摘は隆行に軽く挨拶をすると、じゃ、私は大丸に居るから、と言って去って行った。
約束の店の前にいくと、1人の女が近寄ってきた。
「義、隆、さん…?」
「…久しぶり。」
「…た、かゆ、き…?」
大きく目を見開き、口に手を当てて、今にも泣き出しそうな顔。
「大人に…なったのね…当たり前なのに…嫌だ、私ったら…」
バッグからハンカチを出して目を抑える。
「桜子、目立つから止めてくれ。早く入ろう。」
店の予約は菜摘がしてくれていたから、昼時の席待ちの行列を他所目に店に入る。
食事を楽しみにきたわけじゃない。全員日替わりランチでいいかと聞いたら、異論はないようだった。
「…もう一度、会って話せるなんて思わなかった…ごめんなさいなんて言葉で、償えるとは思ってない。許してなんて言えない。だけど、来てくれて、ありがとう…」
桜子は隆行に向かって深々と頭を下げた。
「桜子のご主人は、今日はどうしてるんだ。用件を済ませてさっさと帰った方がいいんだろう?」
「心配しなくても、長時間拘束なんかしないわ。この機会をいただけただけで充分感謝してます。義隆さんも、再婚したの?」
私にはチラッと横目を向けただけで目を伏せた。私も敢えて目を合わすのは避ける。
「君には関係ないだろう。心配しなくてもパートナーはいるよ」
「相変わらずね…貴方のそういうドライな物言いが苦手だわ…」
桜子は吐き捨てるように言った。