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秘密の恋人
第20章 約束
まだ26歳。お給料の額は知らないけれど、神戸なんて家賃も高そうだし、安いところというのは何か理由があるものだ。
男だからと高を括って、値段につられて変な所には住むなとは言ってある、と義隆さんは言っていたけれど。
実家が通勤圏内にあれば、結婚するまで実家暮らしなんて珍しい話でもない。それを思えば、隆行さんの独り立ちする費用を援助してもいいくらいだったのだけど。
敷金礼金なんかのまとまった費用は義隆さんが用立ててはいるものの、義隆さんが要らないと言っても毎月きちんと一定額ずつ返済されているらしいし、それ以上の援助も必要ない、と突っぱねているそうだ。

隆行さんには「一旦甘えてしまったらそれが無くなった時の方がきつい。だったら給料上がるように売上に貢献してよ。」と冗談めかして言われたそうで。
義隆さんは真剣に何を買えばいいのか考えていたらしく。

私の誕生日に、隆行さんの勤める会社が展開するブランドのアクセサリーを買ってくれようと思っていたらしい 。

「幾らくらいするんだ?」

「セットで10万から。一番シンプルなリングで、でもこれはプレーンなマリッジリングと大して変わらない。女性用に一つ石が入ってるだけ。マリッジにも石入れる人多いし、最低ランクはお勧めしない。ま、松竹梅プランの梅だと思って。上はオーダー次第でいくらでも。普段使いを推奨してるから、石はフルエタニティにはしてなくてハーフエタニティなんだけど。でも石のグレード、彫のデザインでどうとでもなる。サンプルはこんな感じ」

と、タブレットでいくつかのイメージ画像を見せてくれた。エンゲージリングというと、結構大きな石が目立つものが多いイメージだけど、画像はどれも石が小さめで、しっかりと土台に埋め込まれたフラットなデザインだっ た。

義隆さんは少し考えて、隆行さんにそっと耳打ちした。
何と言ったのかは聞こえなかった。
でも隆行さんはびっくりしたように目を見開いて、

「そんなにいいの…?」

と言ったから、多分予算を提示したんだろう。
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