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秘密の恋人
第20章 約束

「唐草模様…って俺たちは呼んでるけど。」

唐草模様…って泥棒の風呂敷の模様じゃないの?と思ったら、

「唐草模様と言う割に随分洒落てるな…」

義隆さんも同じコトを考えたらしかった…

「オリエンタルな感じで結構人気なんだよ。ちなみに、唐草模様って昔の泥棒のイメージがある年代の人もいるだろうけど、あれは当時流行りの柄でどこの家にもあったくらいありふれてたから、泥棒が入った家で現地調達できたってのと、持ってても誰も違和感なかったってヤツだからね?」

そうなのね…ま、その辺の雑学も、ん?て引っかかるお客さんのために説明するのに必要なのかなぁ…

「シンプルにサンド加工…表面をマットな感じにすると、石も模様もよく見えて映えるから、この辺もオススメ。」

「あまり派手でなければ私はいいよ。菜摘の好みにしたらいい。」

私は、隆行さんの見せてくれた唐草模様が気に入って、それがいいと言った。
義隆さんの方には、石が入らない分、一周ぐるっと同じ模様が入ることになる。

とても綺麗だし、派手というほどでもない。
何より、しっかりペア感がありながら、私の方の模様はパッと見には見えないから、会社でつけててもペアだと気付かれにくそう…ま、なんの接点もない一介の事務員と部長が恋人同士だなんて、思う人も少ないだろうけど、そういう秘密の共有はすごく嬉しかった。

隆行さんは、私の希望を聞いて控え、

「じゃ、見積できたら親父にメールするよ」

と言って帰っていった。義隆さんは頷いて見送った。
隆行さんを見送ってから、お風呂をためて入る。

義隆さんがお風呂に入っている間に私は後片付けをした。
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