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秘密の恋人
第22章 終章 2人ノカタチ
「社内では…全く接点が見受けられないので…社内で結婚したりする人たちは、その、同じプロジェクトに参画していたり、同じ部署内で仕事していたり…何かしら接点が見受けられるというか…」

「同じ部署内だろう?だから報告してるんじゃないか。別部署だったらわざわざ言わないよ。」

困った様子の課長に、ニヤニヤと意地悪な笑みを向ける義隆さん…
義隆さんって…常々そうかもしれないとは思っていたけど…ドSなんだわ…

「…あの、知り合った、のは社内だとしても、その、交際に至る経緯が、全く想像出来なくて…」

係長もフォローしようとしたみたいだけど、付き合い出したキッカケなんてそんなプライベートなこと聞く? 

でも義隆さんは例の片眉を吊り上げた表情で。

「きっかけねぇ…アレは確か…あぁ、そうそう。失恋して傷心の彼女を私がナンパしたんだよ。」

「は⁉︎」

ギョッとした課長と係長に、

「ナニ?部長になったらナンパしちゃいけないの?そんな規定はなかったと思うけどなぁ」

と涼しい顔で畳みかける。そんな規定あるワケないじゃない…

「いえ、そういうワケでは…」

「…義隆さん…もうその辺で止めておいて?」

思わず私は義隆さんのスーツの肘のあたりを少し摘んで制した。
課長と係長がホッとしたような複雑な表情で私を見た。
義隆さんは私に指輪を返してくれ、自分も指輪を嵌め直す。

「怒られてしまった。悪ふざけが過ぎたかな、申し訳ない。ま、そういうことだから、でも、必要以上に触れ回るつもりはないから、2人とも、宜しく。」

最後に2人に釘を刺して、私は解放された。後から課長と係長も失礼します、と部屋を出てくる。微妙な距離感を保ちつつ、自席に戻る。
その後は何事も無かったかのように仕事をこなした。

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