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秘密の恋人
第4章 愛サレル実感
私は毎回苦痛だったけど、疑問に思いながらも、それがオトナの男女交際なのだと、自分に言い聞かせていた。

先輩はいつも満足そうで、私は避妊に対する知識も薄くて、されるがままの状態だったし、当時の私は先輩との未来を勝手に夢見ていたから、妊娠に対してさほどの恐怖感も無く、何も言わなかった。

先輩の人となりを見抜けていなかった自分の間抜けさ、惨めさを噛み締め、同時に、妊娠しなくて本当に良かった…と胸を撫で下ろす。
妊娠して彼と結婚したとしても、きっと幸せな結婚生活ではなかっただろう。
もしかしたら結婚したあの子だって、同時進行で付き合ってた女のコの中で、1番に妊娠した、だけなのかもしれないし、それが私だったとしても不思議じゃない。でも、もし仮に、妊娠したとして、その上で逃げられたとしたら、心にも身体にも傷を負っていたはずだ。

彼はただ、自分本意に快感を得たかっただけなのだ。

妊娠。
望んで迎えるそれは、きっと、喜ばしいこと。
だけど、それは自分の生き方を変えることでもある。
仕事も限られるし、キャリアも失うかもしれない。
生活自体が大きく変わってしまう。
悪阻や出産も大変そう。
それなのに、そこに至る行為自体もこんなに痛くて苦しいなんて、なんて不公平なんだろう、と虚しくなったこともあった。

でも、義隆さんは違った。

避妊は絶対に怠らないし、とにかく優しい。
ひたすら甘くて、私は初めて、愛される、という感覚を知った。
初めてじゃないということを差し引いても、痛みを感じた事なんか一度もないし、私の体も気遣ってくれる。

そう、義隆さんに言ったら、若いウチはそういう男もいるね、と笑っていた。
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