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秘密の恋人
第2章 彼トノ始マリ
寂しさと、虚しさと、情けなさで涙が溢れた。
滲むイルミネーションをぼんやりと眺めて、こんな道端で泣いてるなんて最低、早く泣き止まなきゃと、思えば思うほど、涙が溢れて。
居た堪れなくなって、俯いたまま歩き出した時、前から歩いて来た人とぶつかった。
「すみません!」
明らかに前を見てなかった私のせいだから、泣き顔な事も忘れて思わず顔を振り上げて謝った。
ぶつかった相手は、目を丸くして私の顔を見ていた。
「及川さん…何かあったの…?」
驚いた顔で私の前に立っていたのは、萩原部長。
私の上司だった。
上司と言っても、私は入社3年目の平社員で、部長との接点なんてほぼないに等しい。
席も離れているし、会社で話すこともない。
仕事で絡む上司は主任や係長が殆どで、課長でさえ直接話す機会は少ない。
その上である部長は、同じオフィス内に居るとはいえ、上司という認識すら薄い。
私にとって萩原部長は、ただ、会社で見かけるエライ人、くらいの感覚しかなかった。
滲むイルミネーションをぼんやりと眺めて、こんな道端で泣いてるなんて最低、早く泣き止まなきゃと、思えば思うほど、涙が溢れて。
居た堪れなくなって、俯いたまま歩き出した時、前から歩いて来た人とぶつかった。
「すみません!」
明らかに前を見てなかった私のせいだから、泣き顔な事も忘れて思わず顔を振り上げて謝った。
ぶつかった相手は、目を丸くして私の顔を見ていた。
「及川さん…何かあったの…?」
驚いた顔で私の前に立っていたのは、萩原部長。
私の上司だった。
上司と言っても、私は入社3年目の平社員で、部長との接点なんてほぼないに等しい。
席も離れているし、会社で話すこともない。
仕事で絡む上司は主任や係長が殆どで、課長でさえ直接話す機会は少ない。
その上である部長は、同じオフィス内に居るとはいえ、上司という認識すら薄い。
私にとって萩原部長は、ただ、会社で見かけるエライ人、くらいの感覚しかなかった。