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秘密の恋人
第11章 虚勢
支度を終え、手持ち無沙汰になった私はTVをつけた。

案の定、時間は関係なく、初めに映し出される映像は、煽情的な裸体の女性。

作り物の切ない喘ぎ声を上げながら、画面に尻を向けて大きく腰を振る様子には、憐憫の情すら覚える。

これも、彼女の仕事なのだろうから、私が憐れむ筋合いでもないのだが…
若い頃は、こんなものでも興奮したな…と、昔が懐かしくすら思え、そんな自分の変化を寂しくも感じる。

このテの映像を見て、興奮より先に、大変な仕事だと、彼女の親やこの職業に就いた境遇に思いを馳せ、憐憫の情を覚えるあたりが歳を取った証拠だ。

リモコンでチャンネルを変え、朝の情報番組をかける。

備え付けのカップにドリップコーヒーをセットし、ポットの湯を落とす。
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