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秘密の恋人
第11章 虚勢
いつもは、菜摘が起きるまでベッドに居て、起きたらさっさとシャワーを浴び、支度をして部屋を出る。

TVを観る事も、備え付けのコーヒーを飲む事もなかった。

いつも私が先にシャワーを浴びることが多いから、菜摘がシャワーを使う時間、毎回待っている筈なのに、何故かこんなに時間を持て余したことはない。

だが今日は…菜摘もいつもよりゆっくり浴びているのか、それとも気持の問題なのか。
やけに時間が長く感じた。

落としたコーヒーを一口啜る。

妻と別れてから、家ではもっぱらインスタントコーヒーしか淹れないから、こうした簡易のドリップコーヒーもあまり飲まないが…飲んでみると、まぁまぁ美味かった。

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