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秘密の恋人
第15章 幸セノ定義
義隆さんは私をリビングのソファに座らせると、ちょっと待ってて、と言ってその場を離れた。

しばらくして戻ってきた義隆さんは、黒いチノパンにグレーのハイネックのニットに着替えて、髪も軽く撫でつけていた。
きちんとセットはしてないけど、さっきまでのボサボサではなくなった。
コーヒーを2つトレイに乗せて運んでくる。

「急に来たらびっくりするじゃないか。住所、知ってたんだ」

「年賀状送付の一覧持ってるもの」

「あぁ、そういえば、そんなものがあったね。でも…あれ?廃止されて結構経つけど…菜摘が入った時はまだあったんだ?」

「辞めた先輩の机片付けてて偶々見つけたの。ホントは処分するべきなんでしょうけど、取っといてよかったわ。」

「そんな昔の住所引っ越してたら無駄足だったろうに…」

「義隆さんの最寄駅は聞いたことあったもの。それに集合ポストに律儀に名前貼ってあったから絶対間違いないと思った。」

義隆さんは苦笑しながら、エル字型に置いたソファの、1人掛けの方に座る。

「インスタントだけど、よければどうぞ。」

私は頷いて、コーヒーを一口飲む。

「…話、っていうのは…?」
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