この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きょうどうせいかつ。
第14章 なんていったら いいのかな。
「怖……っ」
ベンジャミンさんも、どうしてこんな物騒な人の弟子でいられるのか分からない。
というか、この人の良さが分からない。
「格好いいですう……」
「え!?」
しかし、そんなブレットの考えとは裏腹に、サラはデュークにご乱心らしい。
頬が赤く染まって、目がとろんとしている。
恋する女の子といった感じだ。
「…………」
どうやら、デュークはそこまで嬉しくないらしく、彼には珍しく、顔をひそめていた。
「何処がいいんですか?」
ブレットは、それとなく、サラに聞いてみた。
目をキラキラ輝かせ、いつになく幸せそうな笑顔でサラは答えた。
「もう、とにかく全部ですよう!」
「はあ……」
「あの引き締まった筋肉。すこし陰のある表情の中にも、少しアブノーマルな雰囲気がもう素敵!なんていいったらいいのでしょうか……。ああ、私の語彙力では言い表せないくらい、すばらしいお方なのです!」
何故だろうか。ここにはまともな人がいないのだろうか。この人は普通そうだなと思っていたら、ものすごい引き出しを隠している。それに、こいつは絶対変人だろうと思うような人は、案外まともだったりするのだ。どうしてなのだろうか。というか、そもそも、性格が変わり過ぎじゃないのか?人の混乱を招くような真似はしないでほしいのだが、そんなことをいっても無理なんだろうな。わかってる。俺だって分かってるんだよ。そんな希望的観測しかできないのは駄目な証拠だ。現実はこれなんだ。どこがいいのか全く分からない男が、ものすごくモテる世界なんだ。諦めよう。そして受け止めよう。うん、そうしよう。
ブレットの心の叫びはしばらく続いた。