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きょうどうせいかつ。
第14章 なんていったら いいのかな。
「多分、もういいんじゃないかしら」
さっきの話を聞いてか聞かずか、イザベラが急に話に割り込んできた。
デュークがじっとイザベラの意図を探るように、見つめている。
ブレットも同じようにした。
「私の推測で申し訳ないのだけれど、人間の匂いがしたから警戒していたのじゃないかしら」
「確かに……。僕たちは慣れてしまって気づかなかったっすけど、お二方は人間のままでしたね」
「だから恐らく、人間に対する警戒心故に、私たちを見張っていたのよ」
だからもう大丈夫といっていたのだが、何がどう大丈夫なのかブレットにはよく分からなかった。
イザベラは首を傾げているブレットとクリスの頭に両手をのせ、何かぶつぶつと呪文のようなものを言った。
瞬時、ブレットの胸の内がぬくもりを感じた。温かい飲み物を飲んだ時のように、内側が温かくなったのだ。
何が起こったのか分からず、二人は首を傾げた。
「魔力で魔物と同化させといたわ」
「それは、つまり?」
「うーん。あ、ダミアン、何か喋ってみて?」
『何か、とは?』
ダミアンは困ったような顔をして、首を傾げていた。しかし、ブレットとクリスは驚嘆した。ダミアンの声は相変わらず、人の言葉を話していないのだが、二人には何を言っているのか理解できたのだ。頭の中に翻訳機があるように、すっとダミアンの言葉が理解できた。
「今、ダミアンが何を言っていたのか分かったはずよ」
二人は素直にこくこくと頷いた。
「一時的だけれど、二人を魔族と同じ状態にしたわ。これで人間の匂いも消えるはず。これで問題はないでしょう?」
イザベラは返答を仰いだ。勿論、誰も文句は言わなかった。