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きょうどうせいかつ。
第15章 こんなにうまく いくなんて。

サラの言ったことは本当で、しばらく歩いていると、こじんまりした村にたどり着いた。敷き詰められた石畳に、レンガ作りの家が規則正しく並んでいる。確かにそれほど美しい村は言いがたかったが、人々のぬくもりが感じられる村だった。
この村を見たとき、ブレットは非常に驚いた。それはどうやらクリスも同じだったようで、ブレットと同様、開いた口が塞がらない状態だった。このときに効果音をつけるとしたら、まさにぽかんといった状況だろう。
「すみません……。私、旅のものなのですが、迷ってしまって……。しばらくこの村でお世話になるかと思いますので、村長様にご挨拶願いたいのですが、どちらにいらっしゃるでしょうか?」
こういう時のイザベラは非常に頼りになる。可愛らしい顔もさることながら、機転が利くので、ブレットたち一行は、少し荒らしまれながら、村に侵入できた。
村民は見たところ、普通の人間と何も変わらないように見えた。
「チョロいもんよ……!」
イザベラはよっぽど楽しいのか、したり顔で村を歩いていった。時々、さっきのように、ブレットたちにのみ聞こえるくらいの声で、自慢をしてきた。
案内された家は、村の中では最も大きかったのだが、それでも民家の域を超えてはいなかった。そこから出てきたのは、四十過ぎぐらいの中年の男性だった。やはり、魔族というよりも、人間のように見える。
「こんにちは。私は名のない学者でございます。この度は驚かせてしまったようで申し訳ありません」
そう言って、ぺこりと頭を下げるイザベラ。村長は、その気品溢れる振る舞いを見せられてしまった手前、疑うこともできない。取りあえず警戒心は解いてもらったようだ。
「それはどうも……」
「このような大人数で押し掛けてしまってすみません。しかし、今回は私どものお話を聞いていただきたく、伺った所存でございます」
「学者様のような方が、何故このような小さい村に?」
「ええ。私たちは、人間界からやって参りました」

