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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
ブレットとベンジャミンとイザベラは、宿屋の空き部屋にいた。
そこは、もともと泊まっていた部屋の真下に位置する場所にあり、上で何が起こったか、イザベラの魔力で天井を透視すれば一目瞭然だった。

二人は、眠たい目をこすりながら、事が起こるのを待っていた。
半信半疑だったのだが、取りあえず、念には念をという事で、イザベラに従っていた。

「来たみたいよ……!」

イザベラが声を押し殺しながら叫ぶ。
案の定、窓ガラスが割れる音が鳴り響いた。
恐らく、イザベラの考えが正しければ、反人間派の魔族の仕業だろう。

「いい?逃げるわよ?」

ブレットとベンジャミンは、黙って頷き、イザベラの後を追って、細心の注意を払いながら、部屋を後にした。
上からは、バタバタと足音が聞こえる。

ブレットは、部屋がどうなっているか非常に気になったのだが、振り返らずに宿屋を脱出した。

それなりに体力に自信があるブレットには、これぐらいの持久走は屁でもないのだが、ベンジャミンは息絶え絶えで、不死身の回復力が体力の減少をサポート出来ないでいた。

暫く走って、村をぐるりと囲んでいる森の中に入った。
茂みに隠れて時を待つ。

「ここなら大丈夫そうね」

イザベラはそう言って、にっこり笑った。

「もしも、危険な目に会ったら、ベンジャミンを守ってあげてね」

「ああ。任せておけ。そっちの様子は?」

「最っ低よ。やっぱり奴ら、私が目当てだったみたい」

「そうか……」

「じゃあ、もう行くわね」

イザベラの分身は、そう言って消えていった。

「頑張れよ」

ブレットの声など、毛頭届いてなかった。

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