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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
イザベラが寝ている部屋に侵入した男たちは、まず最初に、魔力を行使して、イザベラの身体を拘束した。
人間の振りをしているイザベラは、魔力によって反撃せず、眠った振りを続けた。
その事に全く気づいていない彼らは、ブレットとベンジャミンを探した。
しかしながら、二人はイザベラの分身、イザベラが魔力によって作り出し、今現在も操っている、案内役とともにいるので、ここにはいない。
イザベラはベッドの中で、にやにやと笑っていたのだが、男たちは二人を探すので血眼になっているため、気づくはずもなかった。
一人の男が乱暴な手つきでイザベラを起こす。
「ん……んん」
「おい!起きろ!男は何処にやった!」
男はがさつな言葉でイザベラを怒鳴り、魔力を利用して、ベッドから引きずり落とした。
「きゃ……っ!」
少し痛かったのだが、受け身をとったら不審に思われるので我慢する。
「え……。身体が……動かない」
できるだけ、人間の振りを。小動物のように、無力な女の振りをするのは、なかなかに難しかったのだが、今までの、自分の両親の目さえも欺いてきた彼女からすれば、息をするように簡単な事だった。
すぐにでも嘲笑いたい気持ちを抑え、出来る限りの恐怖を瞳に映す。
「おい、女、答えろ」
「何がどうなって……」
「答えろって言ってるだろうがっ!!」
びくっと肩を震わすイザベラ。目に涙をためて、その表情から想像だに出来ない事を考える。
人数は、五人。どれも人型の魔族。おそらく、この拘束は私の左斜め後ろにいる、茶髪の男。
拘束の仕方からして、そこまで魔力は強くない。
何だ、低級悪魔じゃない。つまらないわね。