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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
ブレットが後でベンジャミンから聞いた話によると、魔族には大まかに二つの種族がいる。人間の形を模しているものと、動物の形を模しているものだ。なかには、人魚のように、どちらも混ざっている種族もいるのだが、それは稀なので、この二種類に大当てはまるのだという。
そして、人間の体を模している種族はルピフ族。動物の体を模している種族はルニア族という。
ルピフ族は特別高い攻撃力を持っているわけではないのだが、魔法にたけている。ルニア族は、その逆で、魔法が使えるほど魔力は高くないのだが、その代わり力が強いのだ。
「さて──どうしようかしら」
「殺しちゃいます?」
「それもありなのだけれどね──うーん……でも、殺させるよう、仕組まれている気が──」
「仕組まれている?」
「ええ……。何だか、妙なのよ……。何か──嫌な予感がする」
「嫌な──予感」
急に神妙な顔をしているイザベラに、確証はないのだが、ブレットも何か嫌な予感がしていた。
何となく、なのだが。
本当に、何となくなのだが、妙に──。
「殺せ──」
ブレットたちが考えていると、裸の男──ハリーが、歪んだ笑みを浮かべて、笑い始めた。
「殺せえ!殺せえ!ははははははははははっ!殺せ殺せ殺せ!殺せえーっ!!殺せ!ころ──」
「うるさいわよ──」
イザベラの瞳が怪しく光り、男が藻掻き始めた。何かの魔力を発動させたのだろう。こういう事を見ていると、魔力というものは元来便利なのかもしれない。勿論、こんな使い方はしないのだけれど。
何がどうなったのかは本当に分からないが、男はぱたりと倒れてしまった。
そろそろ服を着せてあげたらいいと思うのだが、ここにいる三人にとってはどうでもいいようだ。
「──そんな風にしなくっても……」
「少し黙らせただけよ」
「だが……」
「うるさいわね。貴方も──ああなりたいの?」
「…………」