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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
「ベンジャミン、サラと連絡とれる?」
「はい。分かりました」
ベンジャミンは部屋の外に出て、サラと連絡を取り始めた。
イザベラは気を失っている男の顎を掴み、顔をまじまじと見た。
──何処かで会った記憶があるような。
正確には、この男に覚えがあるわけではなくって、この顔に覚えがあるだけなのだけれど──。
考えすぎかしら。
「──この世界は、どう成り立っているか分かる?」
「え?」
「この世界は──魔界が、どうやって成り立っているか、よ」
「それは、人間の想像力が生み出した世界ってことだろう?」
「二百五十六点」
「え……。何点満点中?」
「そもそも──魔物という存在は、元来人間と接触を持たず、ひっそりと生活していたの」
無視かよ……。
「それが明るみに出てきたのは紀元前数百年前、一人の少年が魔界に迷い込んだ──。その当時、行方不明者なんてざらじゃなかったのだけれどね、その少年は違った……」
────。
「将来、国を担うはずだった、次期国王の息子だったのよ」
イザベラは男の顔から手を放し、ゴミを見るような目で、じっと見た。
「その件は随分と大事になってね──そのことがきっかけで、近隣の国と戦争を始めたという記録も残っているわ」
「………………」
「全く、悲しい話よね──。結果として、そのときに生まれた憎しみや怒りが魔界に集中して、魔族を生み出すきっかけとなったのだから」
「………………………」