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きょうどうせいかつ。
第16章 なんぎなことを するものだ。
「私たちをどうするつもりだ」
「狼がしゃべった!」
「……何を今さら。魔物なのだから当たり前でしょう?──本当にあなたは動物以下ね」
「………………」
さりげなく侮辱された気がする。
動物以下って一体何者だよ。
海草とかかな。
イザベラは狼──ハリーににっこり微笑んだ。
この微笑みを、天使のような微笑みと感じるか、悪魔の微笑みと感じるかは人それぞれだと思うが。
ちなみにブレットは後者である。
「取引をしましょう」
「取引だと」
「ええ」
おそらく、この妖艶な微笑みは、人の心を惑わすためにはピッタリの存在だろう。月に照らされて、いつも以上にミステリアスだ。
「私は殺さない。だから私たちを助けて頂戴」
「──ふっ。笑わせるな。そんなもの、取引にもなっていない。そもそも──我らは死など恐れていない」
「人の話はちゃんと聞きなさい。誰があなたたちを殺すというの?私が殺すのは──あなたたちの、ボス……よ」