この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きょうどうせいかつ。
第4章 ひめはまおうに ささやいた。
「なっ……!」
勇者は目を丸くさせ、真剣にサイコロを観察したが、サイコロの目は、完全にすべて六に変わってしまっていた。
「失礼ながら、ズルをさせていただきました」
姫は両方のサイコロを手に取り、勇者の目の前で、もう一度転がしてみた。
出た目は六のゾロ目だった。
姫はにっこり笑った。
「こちらの、すべて六になっているサイコロは、魔王様にお願いして、コップが机の中に触れた瞬間、変えていただきました」
──これが、魔力……。
勇者は魔王を見るが、魔王の目はどこを見ているのかわからないくらい、遠い目をしていた。
「こちらのサイコロも、六が出るよう仕掛けをさせていただきました。一の目の裏に重りが張り付けてあります」
勇者は姫からイカサマをしたサイコロを受け取り、自分の手で転がしてみた。
六以外の目が出そうになると、不自然な動きで六に戻された。
そういうわけか……。
なんだか自分がバカらしくなってきた。