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きょうどうせいかつ。
第5章 かもくなものは あわてない。
「せめて、水だけでも置かせてくれよ。な? 」
勇者は笑みを浮かべたまま、近くのテーブルまで行き、コップを置いた。
そして、ブーツに仕込んでいた短刀を構える。
「俺も同じだよ」
勇者と魔王は向かい合ったまま、睨み合う。
姫の寝息が聞こえる。
「皮肉だな、魔王。魔族を統べる者が、人間なんかに恋をするとはな……。姫を利用してまで、手に入れたい世界なのか?」
魔王は表情を変えず、勇者の言葉を聞く。
「姫に何をした? まさか、お得意の魔力とやらで、操っていたりしないよな?」
勇者は完全に頭に血が上ってしまっていた。
短刀を握る手に力を込め、魔王に殺気を放ち続ける。
「何も言わないんだな。さあ、何か言ってみろ、お前のその醜い声で何か言ってみろよ?」
魔王はゆっくりと、首を横に振る。