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きょうどうせいかつ。
第7章 そしてふたたび よるになる。
彼女は、自分の性格がそれほど良くない事も理解していた。
少しヒステリックなところがあり、目的のためには手段を選ばない。それが自分の中での評価だった。
その性格のせいで、魔王に度々怒られもしたが、何故か直す気にはならなかったのだ。
案外、気に入っているのかもしれない。
そう思うと、なんだか笑えた。
人に憧れや嫉妬の感情を抱くのに、自分は何も変わろうとしないのだから、なんて滑稽なのだろうと思った。
そんな自分が大嫌いだった。
しかし、そんな自分でも好きになってくれる人がいた。
それがすごく特別な事に思えてきて、なくしたくなくて、壊したくなくって、必死で、もがいて、考えて──。
でも、何もできなかった。
何かしたかったのに、何もできない事を恥じた。
他人にしか頼る事ができない自分を更に嫌いになった。だが、魔王が好きになってくれた自分自身を否定するということは、魔王の愛情そのものを否定しているようで、どうしようもない罪悪感に襲われた。
そんなときだった。
彼女に魔力が宿ったのは。
最初は魔王が何かしたのだと思った。
もしくは、魔物が自ら身に宿ったと。
しかし違った。
この魔力は、愛の証だったのだ。
なんだかとっても嬉しかった。
役に立てると思ったら、すごく嬉しかった。