この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きょうどうせいかつ。
第7章 そしてふたたび よるになる。
彼女の頬に涙が伝う。
魔王は彼女から唇を離すと、そっと涙を拭った。
「──服を燃やされた、っていったら、怒る……?」
魔王はばっと自分の身体から彼女を離した。
身体が赤く炎症していた。
「──っ!」
魔王は、彼女の肩をとんとんと叩き、青年の元へと歩いていこうとする。
彼女は魔王のジャケットの裾を少し引っ張った。
「私が殺したわ」
魔王は足を止め、彼女の頭を優しく撫でた。
その大きな手をそっと掴み、自分の頬に当てる。
「怒らないの……?」
『怒る必要はない』
「そう……」
そっと目を閉じて、魔王の手のぬくもりを感じる。
あなたはこんなにも優しくていい人なのに、みんな知らないなんて残念だね。
こんなに、温かくって、心地よいぬくもりを持っている人なのにね。