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きょうどうせいかつ。
第1章 ゆうしゃのたびは おわらない。
姫を退屈させるほど、勇者は失礼な人間ではなかった。なので、今までの旅路をどのように話せばいいか真剣に模索していたところ、時間ばかりが過ぎていく。
姫はそんな勇者の様子を、楽しそうに観察していた。
そんな二人の静寂を破るように、一人の男が現れる。
背のたかい、真っ黒なスーツに身を包んだ、黒髪の男だった。
当時のものからしてみれば、スーツという服は珍しく、勇者からみると、それはとても奇怪な格好をしているようにしか見えなかった。
「誰だ!?」
「落ち着きなさいませ、勇者様。この方は、魔王様にございます」
勇者は動揺を隠さず、あまりの驚きのため立ち上がってしまった。
そんな勇者を、リアクションの多い人だと姫が見ている。
「ま、魔王!?お前、その姿……」
「人の姿を模しているだけでございますよ。人の言葉はお話になられません」
魔王はなにも話さず、姫の隣の席に座った。
勇者も、ゆっくりと椅子に腰かける。
本当に勇者なのかしら。ずいぶんと落ち着きがないけれど。
そんな風に姫から評価されてるとは知らずに。