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きょうどうせいかつ。
第11章 ひゃっかじてんは かんがえた。
「ということは、さっきの泣き声、皆さんには聞こえてなかったんですか?」
「はい」「そうっす」
またも、二人同時に答えた。
暫しの間、二人はビリビリと火花を散らしながら、睨み合っていた。
「ニーナは、脳に直接声を送って、相手を混乱させる、新種の魔女。面白い子でしょう?」
二人のことなど、全く目に入っていないかのように、イザベラは補足説明した。
温かい紅茶を飲んでいるせいか、頬が若干赤くなっている。
「魔力は、ダミアンほどではないけれど、なかなか強いわよ?その方向性がズレているけれどね」
「すみません……」
「あら、謝らなくっていいのよ。私に使わなければいいんだから」
そういって今日一番のかわいらしい笑顔を見せるイザベラ。その笑顔とは裏腹に、他言無用なオーラをひしひしと感じた。
「セシリアも、ニーナのことを無視しないの」
「……分かった」
少し罰悪そうにしていたが、イザベラになだめられて、素直に頷いているセシリアは、非常に子供らしくて可愛らしかった。
どうやら、ニーナの言っていたことは本当らしく、にこりとも笑わず、相変わらずこちらをじっと見ている。
何かしたのだろうか。
「気にしないで。セシリアは人見知りが激しくって、自分に害があるかどうか判断しているだけだから」
「…………」
イザベラが再び紅茶を飲み始めたので、そうかと呟いて、セシリアの視線を気にしないことにした。