この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
きょうどうせいかつ。
第11章 ひゃっかじてんは かんがえた。

「すごかったやろー」

自分の席に戻ると、クリスがにやにやと笑っていたので、少しだけイラっとした。

「分かってるなら忠告くらいしてくれよな」

「どんなときも警戒心を怠るな、西の国にいたじいちゃんに教わらんかったん?」

「…………」

確かに、西の国の外れには、とても強い老人がいて、その老人はそんなことも言っていた。
ブレットはその老人を自分の師匠のように慕っていて、だからこそ、クリスの発言は癪だった。

自分に警戒心が欠けていることは、ずいぶん前から自覚していた。
それでも、なんとか努力して、それなりに敏感になったと思っていたが──。

またここに来て鈍ってしまった。

それは何故か。
ここにいる連中が、自分に危害を加えないと分かっているからなのだろうが、それにしても、ブレットは不思議でならなかった。

ここにいるほとんどの者が、人ならざる者だというのに、全く警戒していない。
それどころか、好意さえ抱いてしまっている。
三日前の、ここに来る前の自分だったら、確実に刃物を向けていただろう。
しかし、そうしないのは──否、できないのはどうしてなのだろうか。

それは、イザベラがいるからだろうか。
いや──、何か違う気がする。

相変わらず、魔王に対しての敵対心は消えていないのだが──この気持ちは、憎しみというよりも嫉妬に近い。

自分が丸くなってしまった。
角の根こそぎとられてしまったように思えた。

戦う気にならないのだ。
むしろ戦いたくないとも思っているのだ。

情がわいてしまっているのだ。
この、魔物たちに対して──。

/143ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ