この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
紅蓮の月~ゆめや~
第1章 プロローグ
実幸の反応をさも満足げに眺め、美しい女主人は頷いた。
「良き品をお選びになられました。このお着物は、はるか昔、信長公(しんちょうこう)の御代のものにございます」
「信長公?」
実幸は女主人の台詞をなぞった。「シンチョウコウ」、初めて聞く言葉だ。実幸の訝しげな表情を見た女主人は一瞬真顔になり、また薄く笑った。
「ああ、申し訳ございません。かの有名な織田信長(おだのぶなが)様のことですわ」
「織田信長―」
日本史の授業はどちらかと言えばあまり得意ではない実幸だけれど、流石に織田信長の名前くらいは知っている。戦国時代、戦(いくさ)続きであった日本を一時的とはいえ泰平に導いた覇者である。全国統一を成し遂げた戦国武将としてあまりにも有名すぎる歴史上の人物だ。
「良き品をお選びになられました。このお着物は、はるか昔、信長公(しんちょうこう)の御代のものにございます」
「信長公?」
実幸は女主人の台詞をなぞった。「シンチョウコウ」、初めて聞く言葉だ。実幸の訝しげな表情を見た女主人は一瞬真顔になり、また薄く笑った。
「ああ、申し訳ございません。かの有名な織田信長(おだのぶなが)様のことですわ」
「織田信長―」
日本史の授業はどちらかと言えばあまり得意ではない実幸だけれど、流石に織田信長の名前くらいは知っている。戦国時代、戦(いくさ)続きであった日本を一時的とはいえ泰平に導いた覇者である。全国統一を成し遂げた戦国武将としてあまりにも有名すぎる歴史上の人物だ。