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紅蓮の月~ゆめや~
第7章 第二話 【紅蓮の花】 二
と、大きな手のひらが凛子の両肩に置かれた。
「凛子。私はそなたにめぐり逢えて良かったと思うておる。恐らく、私はもう長くはあるまい。兄上がこのまま私をこの平泉の地にのうのうと生かしておかれるとは私には到底思えぬ。この―」
義経の言葉がふと途切れた。
「何者ッ」
鋭く誰何すると同時に、いずこからかビュッと矢が飛んできた。
「凛子、危ない!」
義経が咄嗟に凛子の身体に覆い被さるようにして身を伏せた。矢は二人の真上を掠めて通り過ぎ、積もった雪の上に落ちた。
と、館の表の方で激しい怒号が響いた。
―一体、何が起こったのだろう。
茫然としている凛子の耳に切迫した声が聞こえた。
「凛子。私はそなたにめぐり逢えて良かったと思うておる。恐らく、私はもう長くはあるまい。兄上がこのまま私をこの平泉の地にのうのうと生かしておかれるとは私には到底思えぬ。この―」
義経の言葉がふと途切れた。
「何者ッ」
鋭く誰何すると同時に、いずこからかビュッと矢が飛んできた。
「凛子、危ない!」
義経が咄嗟に凛子の身体に覆い被さるようにして身を伏せた。矢は二人の真上を掠めて通り過ぎ、積もった雪の上に落ちた。
と、館の表の方で激しい怒号が響いた。
―一体、何が起こったのだろう。
茫然としている凛子の耳に切迫した声が聞こえた。