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紅蓮の月~ゆめや~
第7章 第二話 【紅蓮の花】 二
義経が凛子を見る。
凛子も義経を見る。
何より誰よりも愛した最愛の男であった。少女の頃からずっと想い続け、待ち続けた男性(ひと)。
義経が凛子の瞳を覗き込む。凛子は頷くと、懐からひとふりの懐剣を取り出した。鞘から抜いた刃を躊躇うこともなく我が身の白い胸に突き立てる。義経が背後から凛子のか細い首をはねた。義経が刀を振り上げた刹那、白刃がきらめく。
凛子の瞼に最後に浮かんだのは、雪の庭に凛として咲いていた真紅の花であった―。
やがて、凛子の最期を見届けた義経は、自らも凛子の血に染まった愛刀でその腹を掻き斬った。刹那、辺りに血飛沫が飛び散った。
二人の身体から流れ出した大量の血は廊下から庭へと滴り落ち、庭に降り積もった純白の雪を紅く染め上げた。夜になって、雪は更に激しさを増してゆく。
凛子も義経を見る。
何より誰よりも愛した最愛の男であった。少女の頃からずっと想い続け、待ち続けた男性(ひと)。
義経が凛子の瞳を覗き込む。凛子は頷くと、懐からひとふりの懐剣を取り出した。鞘から抜いた刃を躊躇うこともなく我が身の白い胸に突き立てる。義経が背後から凛子のか細い首をはねた。義経が刀を振り上げた刹那、白刃がきらめく。
凛子の瞼に最後に浮かんだのは、雪の庭に凛として咲いていた真紅の花であった―。
やがて、凛子の最期を見届けた義経は、自らも凛子の血に染まった愛刀でその腹を掻き斬った。刹那、辺りに血飛沫が飛び散った。
二人の身体から流れ出した大量の血は廊下から庭へと滴り落ち、庭に降り積もった純白の雪を紅く染め上げた。夜になって、雪は更に激しさを増してゆく。