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紅蓮の月~ゆめや~
第9章 第三話 【流星】 プロローグ
当時は英輔も美都も互いのことを少しでもたくさん知りたいと思った。相手のことを知れば知るほど、気持ちが深まり、相手を大切にしたいと思った。なのに、今、美都は英輔の醜い部分をこれ以上見たくはないと思っている。英輔を心から信ずることができなくなってしまった。多分、すれ違いはずっと以前から始まっていたのだろう。美都ですら気づかない無意識の部分で少しずつ溝は深まり、それがあの浮気で一挙に表面化したにすぎないのだろう。
美都の中でまた新たな哀しみが湧き上がる。想いに沈む美都の耳を女主人の声が打った。
「人の心はただ一つのことにおいてのみ推し量れるものではありません。様々な立場、状況に遭遇してこそ、初めてその人の気持ちが真に判るものです。若いときには、ともすれば、結論を急ぎたいものではありますけど」
美都の中でまた新たな哀しみが湧き上がる。想いに沈む美都の耳を女主人の声が打った。
「人の心はただ一つのことにおいてのみ推し量れるものではありません。様々な立場、状況に遭遇してこそ、初めてその人の気持ちが真に判るものです。若いときには、ともすれば、結論を急ぎたいものではありますけど」