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紅蓮の月~ゆめや~
第10章 第三話 【流星】 一
ところがである。時姫については自分より先に通い始めた相手として認めることができたものの、美耶子より後に兼家が関係を持った女たちに対して、そのような寛容な態度を取ることは難しかった。美耶子に通い始めて半年と経たぬ中に、兼家にはまた新たな女ができたようだ。ようだというのは、あくまでも噂にすぎないからだ。ただ、その噂の出所というのが美耶子の屋敷の女房なのだ。その女は兼家の従者と深間になり、美耶子の部屋へと兼家を手引きした女房である。
あれから、女房は従者の妻となった。妻とはいっても、やはり男が通ってくる別居婚である。もっとも、当時の結婚形態は通常男が妻の許に通う通い婚であり、生まれた子はすべて妻の許で養育された。
あれから、女房は従者の妻となった。妻とはいっても、やはり男が通ってくる別居婚である。もっとも、当時の結婚形態は通常男が妻の許に通う通い婚であり、生まれた子はすべて妻の許で養育された。