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紅蓮の月~ゆめや~
第14章 最終話 【薄花桜】 一
でも、これからはその運命を憎まず、赦そうと思う。赦して受け容れて、神の御心のままに生きてみようと決めたのだ。運命に逆らわず生きてみようと思ったら、不思議なことに心がすうっと軽やかになった。憎しみや怒りばかりの中にいたときよりも、楽になった。
辛いときや心細さに押し潰されそうになった時、小文はこうして肌身離さないロザリオを握りしめる。すると、荒れていた心が凪いだ海のように鎮まってくる。
小文はロザリオを目立たぬように着物の襟の下に押し込むと、店の中に戻った。そろそろ昼時だ。しばらくは客も来ないだろう。治助に何か栄養のあるものをこしらえようと思っていた。
辛いときや心細さに押し潰されそうになった時、小文はこうして肌身離さないロザリオを握りしめる。すると、荒れていた心が凪いだ海のように鎮まってくる。
小文はロザリオを目立たぬように着物の襟の下に押し込むと、店の中に戻った。そろそろ昼時だ。しばらくは客も来ないだろう。治助に何か栄養のあるものをこしらえようと思っていた。