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紅蓮の月~ゆめや~
第1章 プロローグ
強士と同じ学校に行きたくて、猛勉強してやっと合格することのできた名門私立高校に入学してから、まだ二カ月余りしか経っていない。学校から自宅が遠い強士は、高校では部活に所属していない。
ゆえに、二人はいつも校門前で待ち合わせて一緒に帰っていたのだ。比較的家の近い実幸はバス停まで五分ほどの道程(みちのり)を強士と並んで歩くのが何よりの楽しみだった。強士はバス通学をしている。時には強士の乗るバスが来るまで、バス停で立ち話をし、バスに乗った強士に手を振って帰ることもあった。
実幸の生活はすべて強士を中心に回っていると言っても過言ではなかった。強士が行く学校に行き、強士の好みの何とかというタレントと同じ髪型をして。
まるで馬鹿みたいだ。実幸は自分が何だかピエロのようだと思った。一人で勝手に浮かれてその気になって、彼女気取りでいた自分がとても情けなく哀れに思えた。
ゆえに、二人はいつも校門前で待ち合わせて一緒に帰っていたのだ。比較的家の近い実幸はバス停まで五分ほどの道程(みちのり)を強士と並んで歩くのが何よりの楽しみだった。強士はバス通学をしている。時には強士の乗るバスが来るまで、バス停で立ち話をし、バスに乗った強士に手を振って帰ることもあった。
実幸の生活はすべて強士を中心に回っていると言っても過言ではなかった。強士が行く学校に行き、強士の好みの何とかというタレントと同じ髪型をして。
まるで馬鹿みたいだ。実幸は自分が何だかピエロのようだと思った。一人で勝手に浮かれてその気になって、彼女気取りでいた自分がとても情けなく哀れに思えた。