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おんな小早川秀秋
第2章 小早川隆景という男
頼勝の唐突な世間話に、隆景は一瞬だけ戸惑いを見せる。しかし、すぐにこやかな笑顔に戻った。
「秘訣ですか。それは……鬼の生き血を啜る事ですね」
「い、生き血!?」
「知っていますか? 鬼の体には、人を不老不死にする力があるんです。一番は鬼の精らしいですが、そんなものを手に入れるのはなかなか難しいでしょう? 生き血くらいなら、出会える事さえ出来れば頑張って取れます」
「いやいや、無理、無理ですって! そもそも鬼に会った事もないですし!」
「そうですか? 中国にはたくさんいますよ。私は幼い頃から、たくさん見てきました」
隆景の態度は、冗談なのか本気なのか分からないくらい平然としている。頼勝は笑うべきなのか聞き入るべきなのか分からず、苦笑いで相槌を打った。
「しかし、一番怖い鬼は京にいると聞きます。頼勝殿も、気付いていないだけで会っていますよ」
「京に……そう言われると、そういえば、一人心当たりがあります。隆景殿も知っているお方と、もしかすると一緒かもしれないですな」
「ふふ、鬼なんて冗談ですよ。もし本当にいても、食べてはいけませんよ。体に毒でしょうから」