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おんな小早川秀秋
第2章 小早川隆景という男
あき――正確に言えば、秀俊の養子入り。そのせいで秀包は隆景との親子関係を解消されている。毛利一門ではなく、豊臣の血を継ぐ秀俊が小早川家に入る事、それはつまり、お家の乗っ取りである。あきが企んだものではないが、罪悪感を感じずにはいられなかった。
「それは、あなたが気に病む問題ではありません。そもそも私とて、小早川家を乗っ取り毛利一門へ組み込んだ実行犯です。昔からそうして武家は謀略を巡らせてきたのです、むしろ隙を見逃さなかった太閤は、上手だと賞賛すべきでしょう」
「私には、難しくてよく分かりません……」
「すぐに全てを理解するのは難しいでしょう、じっくり勉強していきましょうね」
あくまで隆景は、あきが自分で理解し立ち回るよう求める。一時の身代わりでしかないあきに、どうしてここまで知識を得るよう促すのか。今のあきには、まだ理解出来ない。しかし隆景が言うのだから、おそらくそれは必要なのだろうとも感じていた。
「とにかく、養子であろうとなかろうと、秀包は私の家族です。複雑なようで、その実関係は簡単ですよ」