この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
おんな小早川秀秋
第3章 秀俊修行
 
 暗い廊下は、僅かな足音さえ響かせる。誰がどの部屋で休んでいるかも分からない中、あきはなるべく静かに歩いていた。

 袴を身に付け男の振る舞いでうろつく事に、あきはすっかり慣れていた。地味な紺色は味気なく、あきの心は躍らない。だがこんな夜の色にも馴染めば、本来場違いである城にも染まるような気がしていた。

 静寂を越えれば、隆景という優しい父が待っている。音を立てないよう振る舞うが、近づくたびに心臓の音だけは抑えられずにうるさく鳴っていた。

 だが、静寂を破ったのは、あきの心音ではなかった。闇を踏み荒らす足音に、背後からは秀俊を呼び止める声が迫る。聞き慣れない男の声に振り返ったその時、あきは壁際に追い詰められていた。

「きゃあっ!」

「へえ……確かによく見れば、こんな首の細っこいのが男とは思えねえなぁ」

 やや小太りで、背は低く特徴のない顔とありがちな月代。こんな人間は山ほど顔を合わせたため、誰なのかあきには見当がつかない。だが、男はあきを囲い込み、首筋を撫でる。背中を走る鳥肌は、彼が味方ではないとあきに悟らせた。
 
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ