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おんな小早川秀秋
第4章 埋められない差
 
 隆景の事を思い出せば、ちくりと胸が痛む。誰からも受けた事のない優しさと、返り血を浴びた姿。反する二つは、思い出すたびあきに波紋を呼ぶ。だが、何が書いているか分からない以上、目を逸らす訳にもいかなかった。

 あきは頼勝を呼び出し、手紙を開く。長い長い手紙は、前回よりも心なしかひらがなが多いように見える。字が不得手だ、と言ったあきの言葉に配慮したのだろう。手紙から見える隆景は、変わらずに優しい父だった。

 しばらくすれば、頼勝が部屋へ朗らかに参上する。

「よっ、手紙読むんだって? 相変わらずの長手紙だねぇ」

 床に広がる手紙を見ると、頼勝は苦笑いを浮かべた。そしてあきの隣に座ると、手紙を手に取る。

「じゃ、前と同じように読んでくからな。分からないところは、きちんと聞くんだぞ」

 頼勝は生き生きとした顔をしていて、あきも明るさに引っ張られるような気がした。

『きゅうな出立、こころぼそいことも多いでしょう。共に伏見へむかえない父を、ゆるしてください。

 あなたをおもうと、いてもたってもいられなくなり、つい筆を取ってしまいました。老人の与太ばなしでも、なぐさみになればよいのですが――』
 
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