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おんな小早川秀秋
第4章 埋められない差
 
 そして私は兄に頼りない印象を受けたまま、小早川家の家督を継ぎ、大内家に仕えました。小早川の家中を纏めねばなりませんから、そう気軽に実家へは戻れません。そうなると兄とはますます疎遠になり、たまに文を交わし、年に数回顔を合わせる程度となったのです。

 時折、父から手紙が届きました。しばらく顔を見てないから帰ってこい、兄も心配していると、毎回必ず書かれていました。兄だけでなく、父も面倒な人間だと思いました。

 後に知った話ですが、実はこの頃兄は父に、弟達が懐いてくれないと愚痴をこぼしていたらしいのです。それで父は私達を結び付けようと気を配ってくださったのですが、私はそのお心に気付かず、結局ほとんど実家に帰る事はありませんでした。

 兄に対する印象が変わったのは、主家であった大内家が滅び、陶晴賢が下剋上にて権力を握ったその時でした。厳島合戦は知っているでしょうか? あの戦により毛利はその名を世に知らしめましたが、あの戦に最も積極的であったのは、兄だったのです。

 兄は、陶を恐れ頭を垂れようとする父を一喝しました。家族の前ではいつも穏やかであったあの人の怒鳴り声を、私は初めて聞いたのです。
 
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